フリマアプリといえば「メルカリ」ですが、このほかにも楽天の「ラクマ」や、Yahoo! JAPAN(以下、ヤフー)の「PayPayフリマ」も人気があり、これら3つが事実上の国内フリマアプリ市場の「3大フリマアプリ」として君臨しています。いずれも基本的な使い方は似ています。
しかし集まっているユーザーや売れやすい商品、あるいは、販売手数料や売り上げを現金として受け取る際の手数料などのコスト面でちょっとした違いがあります。メルカリでの取引実績多数で、フリマアプリで合計1,000件以上取引している筆者自身が、3大フリマアプリの違いや使い分けのコツについて解説していきます。
目次
メルカリ、ラクマ、PayPayフリマとは?
まずは3つのフリマアプリの特徴をかんたんに紹介します。
平均的に売りやすい「メルカリ」
メルカリは2013年7月からサービスを開始。月間の利用者が2,000万人を超えるともいわれ、ユーザーの多さは日本のフリマアプリの中でもトップです。さまざまな嗜好を持つユーザーが集まっていることもあり、どんなジャンルでも平均的に売りやすい印象です。
ユーザーがたくさんいるので、販売も購入もスムーズに進む傾向にあります。
ネットショッピングに慣れたユーザーが多い楽天の「ラクマ」
実は、日本初のフリマアプリはメルカリではありません。意外にも2012年7月からサービスを開始した「フリル」という女性専用アプリでした。フリルは2016年9月に楽天グループに買収され、2018年に「旧ラクマ」(楽天がもともと運営していたフリマアプリ)とサービスを統合。現在の「ラクマ」になりました。楽天が運営していることもあり、楽天市場をはじめとしたネットショッピングに慣れたユーザーが中心。また、もともと女性向けフリマアプリが母体だったこともあり、女性向け商品に対する反応がよい印象があります。
また、楽天ポイントを使えることもあり、楽天経済圏の方はよりお得にお買い物することができます。
ヤフーの「PayPayフリマ」はガジェット系に強い印象
この記事で紹介する3つのフリマアプリの中でもっとも後発となるのがPayPayフリマです。2019年10月からサービスがスタートしています。ヤフーが運営していて、「ヤフオク」と連動しているのが特徴です。ヤフオクから流れてきたユーザー層が一定数いるからか、ガジェット系に強い印象があります。また後発の強みを生かして、動画での商品紹介や、システム化された値下げ交渉など、先行するフリマアプリとはやや異なる特徴を持っています。
「売れると引かれる」販売手数料は違う
フリマアプリで出品物が売れると、事務局に「販売手数料」が支払われます。これは売上金額から天引かれる仕組みです。 手数料の金額は、販売価格に一定のパーセンテージをかけて決まるのですが、3つのフリマアプリはこのかけ率が違います。
paypayフリマ | 販売手数料 | 販売価格の6%+消費税 |
---|---|---|
ラクマ | 販売手数料 | 販売価格の5% |
メルカリ | 販売手数料 | 販売価格の10% |
手数料がもっとも高いのは「10%」のメルカリ
一番販売手数料が高いのはメルカリです。販売価格の実に10%をメルカリに支払うことになります。ほかのフリマアプリと比較すると 「かなり高い」と感じる人も多いでしょう。しかし手数料が高い分、メルカリ事務局は出品物の監視やユーザーのケアがしっかりしており、問い合わせやトラブル時のレスポンスの早さにそれが表れていると感じます。
手数料を「5%」に下げたPayPayフリマ、「6.6%」に上げたラクマ
現時点でもっとも販売手数料が安いのがPayPayフリマです。以前はメルカリと同じく10%でしたが、2021年1月から5%まで引き下げ、ヤフーのプレスリリースなどでは「業界最安値」とアピールされています。
最後にラクマですが、PayPayフリマとは対照的に、2021年1月から販売手数料を値上げしました。それまでの3.85%から6.6%に引き上げました。出品者にとっては、実利が減ることを意味するために値上げは痛いものです。しかし、先のメルカリで触れたとおり、フリマアプリの取引が増えると、運営のサポートに助けられる機会も増えてきます。ラクマの公式サイトには、「運営サポート充実のため」と値上げの理由が記載されていますし、事務局の対応が手厚くなる期待を込め、この値上げの動きを否定的にとらえていません。
出品にもそれぞれに細かい違いがある
どのアプリも「商品の写真を掲載する」「商品の説明文を付ける」「商品の価格を付ける」という基本は変わりません。それ以外の細かいそれぞれの違いを見ていきます。
まず、出品時に掲載できる画像数です。かつては掲載できる画像数にばらつきがありましたが、現在は3つのアプリとも最大10枚まで掲載できます。フリマアプリでは、購入希望者が直接商品を手に取って確認することができないため、できるだけ商品の状態が伝わるように、全体の画像、各パーツのアップ画像など複数の画像を掲載したほうが信頼性が増します。ときには、「バッグの取っ手の部分の写真を見せてほしい」、「ゲーム機の裏側を見せてほしい」など、購入希望者から画像の追加掲載を依頼されることもあります。後から問い合わせが来てあわてないように、最初から複数枚の写真をアップしておくとスムーズな取引にできるでしょう。
なお、PayPayフリマには商品の動画を掲載する機能があります。5秒以上30秒以内の長さで、音声の有無は選択が可能です。360°回って商品の全体像を見せることができ、たとえばフィギュアを出品する場合、実際に動かす様子も伝えることができます。
商品説明の労力が減る「バーコード出品」
売りたい商品が本やDVDなどの場合に便利なのが「バーコード出品」機能です。これは、商品に付いているバーコードをアプリで読み取ると、商品情報が自動的に入力される機能のこと。タイトルやアーティスト名、メーカー名、定価などが自動で入力されるので、とても便利で出品者の負担を減らすことのできる機能です。
メルカリ、ラクマ、PayPayフリマのいずれにもこの機能が付いているのですが、対応している商品ジャンルは若干異なります。また、以前はあるアプリでは読み取れた商品が別のアプリでは認識されないなど、読み取り精度の質に違いがありました。しかし最近は機能が改善されてきており、どのアプリも使いやすくなってきていると感じます。
各アプリがバーコード出品に対応しているジャンル
●メルカリ
本・音楽・ゲーム、コスメ・香水・美容、家電・カメラ (スマートフォンは除く)
●ラクマ
本・漫画・雑誌・CD・DVD・ブルーレイ・ゲームソフト・ゲーム機本体・コスメ・美容カテゴリ
●PayPayフリマ
本・コスメ・家電・カメラ・ゲームソフト・DVD・CD・スマートフォンなど
PayPayフリマの「価格の相談」はメッセージなしでスマート
メルカリでは、購入希望者からの「値下げ交渉」が一般的です。しかし、公式ルールではないものの、この交渉を厄介に感じる、忌まわしく感じる方も多くいらっしゃるのが現実です。商品販売の画面上でのメッセージのやり取りで値段を下げてもらう、まさに“交渉”が行われるわけです。これはラクマでも同じで、出品希望者と購入希望者との間のメッセージのやり取りが、ひとつの文化になっています。
PayPayフリマは若干様相が異なり、公式機能として「価格の相談」が実装されています。たとえば、13,000円の品物に対して「12,100円に値下げ希望」 という形で出品者に購入希望額を提示し、出品者がそれを承認した場合は24時間その金額が有効になります(販売価格の80%未満の価格は指定できません)。また、希望額までの値下げができない場合には、出品者が任意で設定した値下げ額が逆に提示されることもあります。
PayPayフリマでは純粋に価格ベースでの“ドライ”な交渉になります。よって、値下げに応じたくない場合でも、運営を介しているので断るうしろめたさもありません。
各フリマアプリのオリジナル発送サービスと配送料の比較
●ラクマ
かんたんラクマパック(ヤマト運輸)……発送場所:セブン-イレブン、ファミリーマート、ヤマト運輸、PUDO
かんたんラクマパック(日本郵便)……発送場所:郵便局、ローソン
●メルカリ
らくらくメルカリ便(ヤマト運輸)……発送場所:セブン-イレブン、ファミリーマート、ヤマト運輸、PUDO
ゆうゆうメルカリ便(日本郵便)……発送場所:郵便局、ローソン
※このほかにも、メルカリポストも増加中。これはドコモショップなどに設置されている無人投函BOXで「ネコポス」「宅急便コンパクト」に対応。スマホがあれば出荷作業が完結。
●PayPayフリマ
ヤフネコ!パック(ヤマト運輸)……発送場所:セブン-イレブン、ファミリーマート、ヤマト運輸、PUDO
ゆうパック・ゆうパケット(おてがる版)(日本郵便)……発送場所:郵便局、ローソン
どのフリマアプリも、ヤマト運輸や日本郵便と提携したオリジナルの配送サービスを提供しています。これらの発送方法を使うと、宛名書きが不要です。さらに名前や住所が相手に知られない匿名配送が可能です。いずれのアプリも、商品が売れると、取引画面上に送り状の発行に必要なQRコードやバーコードが作成されるので、そのコードを商品と一緒に郵便局やコンビニなどの対応店に持ち込み、コンビニでは「Famiポート」などのマルチメディア端末、郵便局では「ゆうプリタッチ」という機器に読み取らせてレシート(ゆうプリタッチでは宛名ラベル)を発行し、レジや窓口で発送します(郵便局は直接窓口に持ち込んでも対応してくれるようです)。
メルカリやラクマでは、こうしたオリジナル配送サービス以外の方法でも商品を送ることができますが、利便性などを考えると、基本的にはこれらのサービスを使うのがおすすめです。
そして配送料についてですが、
3つのアプリにはさほど大きな差は見られません。たとえば、「A4サイズで厚さ3cm、重さ1kg以内」の商品を送ることができるヤマト運輸の「ネコポス」で比較すると、
・らくらくメルカリ便……175円
・かんたんラクマパック……200円
・ヤフネコ!パック…… 170円
となっています。そのほかのサイズについてはくわしくは触れませんが、取引数が増えてくるまでは、配送料の違いにこだわりすぎなくてもいいのではないかと思います。それよりも、ご自身にとって便利な発送場所を見つけることが取引に慣れていくコツです。そして、なによりこれらのオリジナルの配送サービスは、配送料が全国一律なのも大きなメリットです。
メルカリより、ラクマ、PayPayフリマで売ったほうがいいケースもある
この記事の冒頭で、「メルカリは平均的によく売れる」と書きました。が、必ずしも、「ベストなマーケット」というわけではありません。商品のジャンルによっては、ほかのフリマアプリを使ったほうが高値が付いたり、スムーズに売れたりする場合があります。
具体的には美顔・コスメ系はメルカリでは比較的値段が下がりやすいカテゴリです。理由はシンプルで、同じ商品の履歴が豊富に残っているためユーザーの中で“相場感”ができあがっているからです。したがって、1万円で出品した商品に対して「別の人は8,000円で売ってくれた」などと、強めの値下げ交渉が入る場合があります。このようなことから、売買の履歴を確認し、それぞれのアプリでの相場観を確認するのが賢明な判断です。
こんな時私は、ラクマでの相場もチェックしてみます。同じ商品でもフリマアプリを変えてみることでスムーズに売れることも少なくありません。
同様に、ガジェット系ならPayPayフリマが強い印象です。これも私の体験になりますが、1年半使ったApple Watch(機能は問題ないものの、汚れが少しある状態)を出品したときのことです。出品価格は13,800円ほどでしたが、メルカリでは、10,000円ほどに値下げして欲しいという交渉が入りました。そこで、いったんメルカリでの出品を止め、ラクマ、PayPayフリマでも試してみたところ、ラクマは13,800円の売値で“いいね”が3件付き、PayPayフリマは“いいね”が13件つきました。このときは出品した翌日にPayPayフリマで売ることができました。
このように、あるフリマアプリではあまり“いいね”が付かなかったり、希望の値段で売れないと感じた商品は、別の売り場(=フリマアプリ)で売ってみると、意外とスムーズに売れることがあります。
「経済圏」と「フリマアプリ」
フリマアプリでは、入ってくる売り上げの「出口」についても考えておいたほうがいいでしょう。どのアプリも、売り上げでアプリ内の出品物を買うことができますが、「現金として引き出す際の手数料」と、「アプリ以外での使い道」は異なります。また、実際に売り上げを現金化するときの手数料もかかるので確認しておきましょう。
振込手数料一覧
メルカリ | 振込ごとに200円 |
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ラクマ | 振込ごとに210円。1万円以上かつ楽天銀行なら無料 |
paypayフリマ | 振込ごとに100円。PayPay銀行なら無料 |
メルカリの場合、売り上げはポイントとして加算されます。このポイントはメルカリ内での買い物に使えるほか、決済機能「メルペイ」や「iD」の加盟店での支払いに使えます。また、手数料200円を払うことで現金として受け取ることも可能です。数千円、あるいは数万円の単位のポイントであればコンビニや飲食店の支払いに使うことにしています。あるいはメルカリの梱包資材の購入に充てる場合も多いです。
ラクマは楽天が運営しているため、楽天経済圏での利用が便利です。ラクマの売り上げは「売上金」としてアプリに貯まります。これを「楽天キャッシュ」という楽天の電子マネーにチャージすることで、買い物に使えるようになります。楽天内での買い物はもちろん、楽天ペイを使って加盟店(リアル、オンライン)での支払いにも使えます。なお、現金として受け取る際には手数料として210円がかかりますが、楽天銀行の口座に出金する場合のみ、10,000円以上の出金で手数料が無料になります(9,999円以下は手数料210円)。
このように、入ってくる売り上げの使い道はさまざまです。楽天経済圏やPayPay(ヤフー)経済圏を使う機会が多い人は、フリマアプリでも意識的にそちらに寄せるのもひとつの考え方でしょう。